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当別町

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ふくろう湖




2017年、年明け早々に青年が訪ねてきてくれた。

2016年の夏にFBで「会って話をしたい」というメッセージを貰っていたのだが
移住のドタバタと、移住先にネット環境が無いことなどから、そのメッセージに気付くことなく年末を迎えようとしていた。

12月10日になってFBの設定変更をしようとしたところ未読のメッセージが数件あったことに気付いた。

殆どのメッセージが見知らぬ人からの友達申請で、取り留めもない内容に閉口したが、その中で一つ、真摯な内容のものがあった。

それが、青年からのメッセージだった。

青年は、昨年まで私が在住していた当別町の出身で、大学在学中にインドへ赴き、グローバルな社会学習を終え当別に戻ってきていた。

そして、地元を盛り上げたいとの志を抱いたとき、盛り上げるべき要素の少なさに愕然とし、何かないかと探し回った末に私が撮影した数々の「ふくろう湖」の写真に出会い、連絡をとるべくメッセージをくれたのだった。

私の写真を見た青年の思いは「写真コンテスト」を開催し、多くの人に当別町へ来てもらうことで町興しができないだろうかというものだった。

私は5年以上をこの当別町で暮らし、その間、様々なことを考え実行してきた経緯と、その中には写真コンテストというアイデアもあったことも話した。

しかし、この当別には彼が言うように盛り上げるべき要素があまりにも少なく、ましてや、私のようなよそ者が何をしたところで協力者など現れるはずも無く、それどころか、共感すら得られないのが現状だった。

それでも、元々が自分のために始めた「ホタル育成」「ヒガンバナ栽培」「蓮栽培」「当別町の土による陶芸とキャンドルシェード造り」」「当別産山葡萄によるワイン醸造と栽培」などなどは、当別町から三笠市幌内へ移住する間際まで継続し続けた。

そんな中でも、完成以前から観測と撮影を続けていた「当別ダム・ふくろう湖」においては、ネット上の様々な写真サイトやSNS、ブログなどへ投稿し、この写真をきっかけに「ふくろう湖」を知り撮影に赴いてくれた人も少なくない。

今や、誰もが手軽に写真を楽しめる時代となり、手軽に絶景を撮影できるとなれば海外からも人が訪れる。

いずれ、「ふくろう湖」にもそんな日が来てくれれば当別町の名前も全国区になるかもしれず、それが町興しのきっかけに繋がるのかもしれない。

そんな私の願いと、青年の思いが、ネットを通じてつながった瞬間でもあった。



「当別町には何もない」
確かに、表面的な事を言えばそうなのかもしれない。
町のパンフレットに掲載されている「見晴らしの松」は、当時、青山周辺で大火があった際に唯一燃え残った松ということだが、今や周囲は雑木と雑草に埋もれてしまい、どれが対象物なのかもわからず、盛夏に行こうものならスズメバチの大群に車ごと襲われ閉口してしまう。

その他の名所旧跡にしても、広大な町内に点在する石碑や旧家などであり、観光の対象物として長時間滞在するには至らない粗末なものばかりである。

今や当別町ばかりでなく、日本中が高齢化し、権威のある人の大半が昭和、或いは大正生まれの高齢者であることから、時代に則した発想に乏しく、「観光と言えば名所旧跡」という江戸時代からの習わしにのっとった前時代的発想しかないからに他ならない。

その証として、当別町では70歳代町長の選挙戦と交代劇があり、今この時代において、道の駅を作るという「箱物行政」が行われている。

それ自体を批判するつもりはないが、作るために数億、長年にわたる維持費はその何倍になるか想像もつかず、老朽化していざ取り壊そうとしたときには、建設時の2倍以上の経費がかかるということぐらいは素人でも理解できる。

本来なら、数年間の採算予想をし、その上で少しでもマイナス傾向が見えるものであれば、何度でも検討を繰り返し、全てがプラスになるまで実行しない勇気も必要だと考える。

こう言うと「慎重すぎる」言われるかもしれないが、誰か一人が責任を取ればいい話ではなく、町民全員がその責任を負わされかねないことであり、ひいては、夕張市のように、国からの借金を返済しないままに破綻しかねないからでもある。

そうでなくとも、当別ダム建設に数十億の借金をし、その返済のために地域の水道料金の値上げをしたばかりで、実際に苦情も多く出ている。

しかし、このような浅墓な地方行政は当別町に限ったことではなく、破綻した夕張市の破綻理由も、破綻寸前(事実上既に破綻していると思われる)の三笠市などを筆頭に、他の地方自治体でも似たようなことが言えるのかもしれない。

さて、「町興し」が一筋縄ではいかないことの理由の一つとして、行政の在り方の一端を掘ってみたわけだが
この他にも、「役場職員の地元出身者が一握りであることから、地元愛が薄い」とか
一部の有力者の権威が強すぎて、民主的な声を上げづらい、拾い上げられないとか
過疎化しすぎているために、人口が広範囲にバラけ過ぎていて統率感が感じられないとか
過疎化し税収が少ないにもかかわらず、管理する土地が広いために、除雪や道路、公共物補修などの経費がかかりすぎるなどなど
列挙すればきりがないほど問題は山積みとなる。


今や日本国中の地方行政、地方自治体は苦しんでいると言っても過言ではないが
そんな中でも、個人有志が集まって町を盛り上げようという傾向も増えている。

近々行われる、「札幌雪祭り・すすきの氷まつり」を筆頭に、「小樽雪あかりの路」、「支笏湖氷濤まつり」、「滝川ランタンフェスティバル」、「層雲峡温泉 氷瀑まつり」、「美瑛青い池夜間ライティング」、「知床オーロラファンタジー」などなど
この他にも私の知らない大小のイベントがあることだろう。

しかし、これらのイベントの殆どは、その始まりには行政や地方自治体は関わっていない。

そもそも、行政や地方自治体の関係者の殆どは公務員であることから、中学・高校時代、あるいは小学時代から、公務員になるべく勉強をして来た人たちで構成されており
それ以外の社会性を有していない人も多く、非常にマニュアル的で融通が利かない人が多い。

このような人は、仕事ばかりでなくプライベートにおいても社会性・人間性において発想力・創造性・応用に乏しい場合があり
先に列挙したような様々なイベントを発想し、実行することできないし、できる可能性があるとしても
「予算が無い」「人が居ない」「場所が無い」「時間が無い」と、できない可能性を先に考える「マイナス思考」が身についており
どこの自治体においても行政が先行して行われるイベントの殆どは、前時代からの習わしの継承のみで
時代に則した新しい発想の元で行われているイベントの殆どは、地元有志や商店街など、個人や有志団体が始めたものが殆どである。

とはいえ、公務員業務としては、市民が求めるような内容に対応することができない場合や、その必要性が無いことも多く
必ずしも要求に応えなければいけないという責任はない。

つまりは、誰が悪いわけでもなく、行政機関の、今の時代にそぐわないシステムに不具合が生じ始めていると考えるべきだろう。

このように、行政や地方自治体は、政には非常に消極的で、全く頼りにならず、大きな集客があるものや、地域の話題性として影響力があるものに後乗りしてくるばかりである。

と、まぁ、敵を増やすのはこれぐらいにしておく。




話しは戻して「当別には何もない」だが、無いわけではなく見えていないだけだと考える。

実際に私が行ってきた「ホタル育成」や「当別町の土による陶芸とキャンドルシェード造り」「当別産山葡萄によるワイン醸造と栽培」においてはすべて当別にあるもので行っている。

とはいえ、かつては当別でもたくさん飛び回っていたと言われるホタルだが
「ミヤイリガイ」という「日本吸血吸虫」の宿主ということで、日本国中で大規模な駆除が行われた結果
同じ環境に生息するヘイケボタルと、その餌となるカワニナなどが共に全滅させられ
更に多くの下水や側溝、田んぼの畦までもが、流れが速くなるコンクリート製のU字溝で固められ、再び繁殖する機会を完全に奪った。

そんなことから、ホタルもカワニナも居なくなったと思われていたが
コンクリート製のU字溝の流れの緩い場所などにカワニナが生息しているのを確認し
当別町内の水辺をザルですくってまわった結果、自分が在住した場所の裏山の小川で
カワニナとヘイケボタルの幼生を発見するに至った。

その後、ほぼ毎日のように裏山の小川でカワニナとホタルをすくい
当時の住居のガレージの一角に育成室を作り、カワニナとホタルそれぞれの育成水槽を設置し
屋外には素掘りのホタル育成池を造り、繁殖を試みた。

その年の7月5日、ホタル池で10頭、育成水槽で5頭の孵化があり
「ホタル無料観賞できます」と看板を出したことで、通りすがりの人や、近隣の人たちが見に来てくれるようになった。

数日すると、北海道新聞の取材を受け石狩版に掲載されたことで
日に日に観賞に訪れる人が増えて行った。

翌年には、一度に見られる総数も600頭にも増え、再び北海道新聞の札幌版に掲載されたことから
札幌から来る人も多くなり、観賞に訪れる人は僅か1週間の間に100組を超えた。

これほどまでに集客力のあるホタルが当別にいる。

北海道でホタルが有名なのは沼田町だが、札幌からは車でも3時間前後かかってしまうのだが
それでも、札幌から観賞に訪れる人は多い。

それを考えれば、当別なら札幌から車で1時間前後と非常に近く
子供たちも、ホタルを見た感動を、居眠りをせずそのまま家まで持ち帰ることができることだろう。

365日いつでも見られるわけではないホタルだからこそ希少価値も高く、当別町の名物としての期待は大きい。

ちなみに、ホタルもカワニナも、水稲や他の農作物への害は全くない。



さて、ホタル観賞だが、ホタルは暗くなってからしか光らず、また、周囲に灯りがあっても光らない。

私が造ったホタル育成池や育成室は住居の裏側にあり、灯りが全くないため
老人でなくとも足元に不安があった。

そこで、足元を照らすべく、空き缶に穴を開けてロウソクを入れてみたり、LEDロープライトを張り巡らしたりしたが、何とも風情が無い。

何かいいアイデアが無いものかと考えた末に、お隣の水田から粘土が掘り起こされた。

その粘土を譲り受け、キャンドルシェードを作ってみた。

粘土を捏ねて乾かし、捨てられていたU字溝を立てた中に材木とキャンドルシェードを詰め込み、煉瓦やブロックで密閉して火をつけた。

数時間して材木が燃え尽き火が消えたので、中に入れたものを取り出し、指先で弾いてみると「キーン」という金属音がした。

まるで縄文式土器と同じ赤茶色を呈し、所々に自然釉がかかったキャンドルシェードは陶器そのものだった。

翌年までに同じ方法で多くのキャンドルシェードを作り、ホタル観賞に訪れる人たちの足元を照らせるものになればと考えた。


当別町はその昔、当別川の幾度もの氾濫で洪水に見舞われており
その度に多くの肥沃な粘土が山から運ばれて形成された土地に町がある。

また、江別市野幌から余市にかけて広がる広大な赤土地帯の中にあることから
周辺地域で採取できる粘土には鉄分が多く含まれている。

この土は、余市では縄文時代後期に縄文式土器制作に使われ
野幌では、道庁赤レンガやサッポロビール工場などで使われている煉瓦制作に利用されている。

当別では、上記の物ほど赤くはないが、かなり上質な陶芸に活用できる粘土が多く採取することができる。

今、日本中で、陶芸用の土が枯渇し始めており、安価で販売されているものの中には
産地の成分を科学的に分析し、合成して作られたものが多い。

今私は、三笠市幌内で山土を採取して陶芸を行っているが
不純物や石などが多く、採取したままで使うことは難しいので
ふるいにかけたり、水簸したりを繰り返すことで、陶芸に向いた土を作っている。

それに比べれば当別の土は、採取したそのままでも陶器にすることが容易く
更に精製することで、きめ細かな良質な土となることを考えれば
この粘土そのものもまた、表面的には見えない当別町の財産となり得るだろう。



また、「当別産山葡萄によるワイン醸造と栽培」においても
休耕田や離農が増えている当別だからこそ
その土地を利用して、山ブドウ栽培をし
そのブドウで作るジュースの製造販売を経験したのち
そのノウハウを生かして、他の品種のブドウ栽培と、ワイン醸造を行ってみてもいいように思う。



意外に、地元の人でも知らないこととして
当別町では白亜紀前後期の化石が採掘できる場所があり
また、砂金が採れる川もある。

どちらも、たまたま、撮影のために入り込んだ先々で出逢った人から教えてもらったことで
その人たちのアドバイスを元に、私自身も化石や砂金に出会っている。



こうして見てみると、地元の人が「何もない」という土地であっても
私のような「よそ者」から見れば、多くの観光資源があることに気付く。

「灯台下暗し」とはまさにこのことで
遠く札幌ばかりに「気付いてくれ」と灯りを放っているばかりで
自分の足元は真っ暗で、何かの畑にすること以外には気づいていないというのが現状だろう。

土の中にはたくさんの、地球の歴史が眠っており
それはそのまま、色んな形で必ず人間の生活に役立ってきた。




青年が訪れてから、およそ4時間にわたり、私は上記のことを話し続けた。


そして、今はまだ、写真コンテストを開催するためのネタが当別町には無いのだから
まず、写真を撮りたくなるものを作ることから始めなければならないと告げた。


青年は29歳で、私が生き別れた子供たちとほぼ同世代ということもあり
共通の夢を息子と前向きに話し合っているかのような錯覚を覚えた。



私はサンプルとして、これまで撮影してきたいくつかの冬のイベント写真を見てもらうことで具体的な提案をし
この冬、いよいよ、現実的に何かをしてみようというという事になった報告を受けた。


私が5年以上も夢見てきたことが、ようやく小さな一歩を踏み出す。

何かを得たいわけではない。

世界が平和であってほしいと願い、誰もが幸せであればと願う。
お気に入りのチームに優勝してほしいと願い、応援しているアスリートに金メダルを齎せたいと願う。

ただそれだけのこと・・・

私は、この青年が頑張り続ける限り、当別町を応援しようと思う。




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by kitanohotaruya | 2017-01-19 21:10 | 町興し


蓮とホタルと彼岸花とワイン用ブドウ栽培やら地元の土で陶芸やら


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